2025/08/08
フリーランス本記事は、フリーランスが使える補助金・助成金を網羅的に解説。経済産業省・中小企業庁やJ-Net21での最新公募の探し方、jGrants2での電子申請、持続化・IT導入・ものづくり・事業再構築の活用要点、自治体支援や厚生労働省系の留意点、必要書類・税務・交付後の実務、加点と採択のコツまで。結論は、公募要領に即した計画とエビデンス整備が採択率を左右します。
「フリーランス 補助金 助成金」で検索する人の多くは、どの制度が自分に使えるのか、対象要件や対象経費、自己負担率、申請の手順や税務処理、電子申請の基本までを短時間で把握したいと考えています。本章では、用語の違いと税務上の取り扱い、個人事業主と法人設立での対象要件の違い、そして申請で共通するルール(対象経費、事前着手禁止、事後精算)を体系的に整理します。制度の最新情報は公的機関の公表に基づき確認するのが原則です。参考:中小企業庁、J-Net21、税務は国税庁タックスアンサーが一次情報です。
補助金は、経済産業省や中小企業庁、地方自治体などが実施する「事業計画に基づく競争的資金」です。公募・審査・採択を経て、交付決定後に事業を実施し、実績報告の内容が認められた範囲で精算払いされます。目的は販路開拓、IT導入、設備投資、生産性向上、GX・DXなどの政策課題の解決に資する取り組みで、採択率や加点項目が明示されるのが一般的です。
助成金は、主に厚生労働省系の雇用関係等でみられる「要件充足型の公的支援金」です。公募型でも審査がありますが、要件(例:賃金引上げ、労働環境の整備、研修実施など)を満たし、必要書類が整えば受給できる性格が強い一方、証憑管理や労働保険・雇用保険の適正加入が厳格に求められます。予算枠や申請期限により受付停止となる場合があります。
給付金は、定額給付などの性格が強い制度(例:一時的な事業・生活支援)を指し、用途の自由度が高いこともありますが、創設目的や対象者、課税・非課税の扱いは制度ごとに異なります。最新の取り扱いは必ず一次情報で確認してください(参考:国税庁タックスアンサー)。
税務上、補助金・助成金は原則として課税対象で、個人事業主の場合は事業所得等の収入(売上外収益)に算入します。消費税については、補助金等の受領は「資産の譲渡等の対価」ではないため原則課税対象外ですが、補助金の交付を受けて取得した資産・サービスに係る仕入税額控除の按分や調整が必要となる場合があります。固定資産の取得に充てた国庫補助金等については圧縮記帳の検討余地があり、制度・取引実態に応じた会計・申告処理が求められます(詳細は国税庁タックスアンサーで必ず確認し、必要に応じて税理士に相談してください)。
収入計上時期、必要書類(交付決定通知、実績報告書、領収書・通帳写し等)の求められ方は制度により異なります。電子申請(jGrants等)を利用する制度では、事業者アカウント(例:gBizID)の取得が前提となるケースが一般的です。
経済産業省系の多くの補助金は「中小企業・小規模事業者」を対象としており、フリーランス(個人事業主)も応募可能です。法人化しているか否かそのものが有利・不利を決めるわけではなく、事業の実態、事業計画の妥当性、加点項目(賃上げ、価格転嫁、GX・DX、インボイス対応など)への適合度が評価の中心です。個人事業主は、開業届の提出、直近期の確定申告書(青色申告決算書または収支内訳書)など、事業実態を示す書類の整備が必要になります。
「小規模事業者」の範囲は制度で定義され、例として小規模事業者持続化補助金では、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)で常時使用する従業員数5人以下、製造業その他・宿泊業・娯楽業で20人以下といった基準が用いられます。常時使用する従業員の範囲(役員・家族従事者・短時間労働者の扱い等)は公募要領で定義されるため、最新の要件を必ず確認してください(参考:中小企業庁)。
法人設立(法人成り)を行うと、補助金上は「別の事業者」として取り扱われ、創業年数や実績の通算、みなし同一事業者の判定などに影響する場合があります。個人時代の売上・設備・知的財産の引継ぎや、同一性の判断は制度ごとに基準が異なるため注意が必要です。また、厚生労働省系の雇用関係助成金は、個人・法人を問わず「雇用保険適用事業所」であること、労働保険の適正加入、就業規則・賃金台帳等の整備が前提となるため、従業員を雇用していないフリーランス単独では対象外の制度が多くなります。
いずれの場合も、反社会的勢力排除、法令遵守、補助対象経費の二重計上・重複受給の禁止、価格の妥当性(相見積等)など、公金を受ける事業者としてのコンプライアンスが求められます。
手続面では、電子申請の普及により事前のアカウント準備(例:gBizID)が実質的な参加要件となることが多く、申請期限間際の取得は間に合わない可能性があるため、余裕を持って準備しましょう。
対象経費は制度の目的に沿って細かく定義されます。代表例として、販路開拓(チラシ・パンフレット・Webサイト制作・EC構築・広告宣伝費)、ITツール・システム導入費、機械装置・備品(制度で認められるもの)、外注・委託費、専門家謝金、旅費、資料購入費、展示会出展費などが挙げられます。一方、税金や各種保険料、借入金の返済、在庫の仕入、汎用性の高い日常品、本人・関連当事者との取引、中古品やリース・レンタルの可否などは制度ごとに制限されるのが通常です。対象・不対象の線引きは公募要領に必ず記載されます。
自己負担率(補助率)は制度ごとに定められ、1/2や2/3などの例が一般的です。補助上限額も枠ごとに設定され、超過分は全額自己負担になります。採択後も、交付決定通知で確定した事業期間・経費区分の範囲内でのみ支出が認められ、計画変更が必要な場合は「事前に」変更申請・承認を受ける必要があります。
事前着手禁止は最重要ルールです。原則として、交付決定日より前に行った契約・発注・納品・支払いは補助対象外となります。見積徴取(通常は複数社の相見積)、仕様書の作成、取引先の選定理由の明確化、利害関係者取引の制限なども適正な支出の前提です。違反すると、不支給や返還(加算金を含む)の対象になり得ます。
事後精算では、実績報告書に加え、見積書、発注書(または契約書)、納品書・検収書、請求書、領収書、支払を証明する通帳写し(ネットバンキング明細を含む)、成果物の写真・URL等、エビデンスの完全性が求められます。クレジットカードや現金払いの可否、前払金の扱い、分割納品の計上、送料・保守費の取扱いなども制度により異なるため、事業開始前に運用ルールを設計しておくと安全です。インボイス制度・電子帳簿保存法への対応も、証憑の適格性や保存方法に関わるため実務上の重要ポイントです(制度横断の基礎情報はJ-Net21などの公的解説や各公募要領を参照)。
最後に、補助金は「後払い」が原則で、資金繰り(つなぎ資金)の確保も成功の鍵です。入金までのタイムラグを見据え、自己資金、金融機関の制度資金、リース・割賦の可否などを事前に確認しておきましょう。
経済産業省・中小企業庁系の補助金は、法人だけでなく個人事業主(フリーランス)も対象になる公募が多く、販路開拓、IT導入、設備投資、事業転換、事業承継、エネルギー効率化など、成長局面や転換点に応じて活用できます。いずれも公募回ごとに補助率や上限、要件が更新されるため、申請前に最新の公募要領と事務局サイトで必ず確認し、交付決定前の発注・支払いは禁止(事前着手禁止)、実績報告に基づく事後精算が原則である点を厳守します。最新情報は中小機構が運営する支援制度データベースで横断的に確認できます(J-Net21)。
小規模事業者(個人事業主を含む)の販路開拓・業務効率化を支援する代表的な補助金です。チラシやWebサイト制作、EC構築、広告出稿、展示会出展、設備の一部導入、業務改善ツール導入など、売上拡大や生産性向上に資する取り組みが対象になり得ます。公募回により特別枠や加点(例:賃上げ、価格転嫁、インボイス対応、GX・DX等)が設定されることがあるため、政策との整合性を明確にすることが採択の鍵です。制度の枠組みや最新の様式は事務局サイトで確認します(例:日本商工会議所、J‑Net21の解説)。
対象者は小規模事業者の定義に該当する個人事業主・法人です(業種や従業員規模の基準は公募要領で確認)。対象経費は広告宣伝費、開発費、機械装置等費、委託費、外注費、展示会出展費、広報費、システム利用料など、客観的に事業計画に紐づき妥当性のある支出が中心です。補助上限・補助率・特別枠は公募回で異なるため、必ず最新の公募要領を参照します。事業計画は「現状の課題→解決策→市場・顧客→収益モデル→KPI→実行体制→リスク対策」の流れで一貫性を持たせ、定量目標(リード数・CVR・客単価・生産性指標等)と根拠データを提示します。
採択の傾向として、単なる道具購入ではなく、具体的な販路開拓シナリオ(ターゲット、チャネル、メッセージ、クリエイティブ、ABテスト設計、効果測定)が明確であること、価格転嫁・賃上げ・インボイス対応など政策的観点と整合していること、見積の妥当性と調達の透明性が確保されていることが重視されます。
年に複数回の締切が設けられることが多く、事前にスケジュールを逆算して準備します。一般的に商工会・商工会議所等の支援機関による確認書類が必要な方式があり、余裕をもった相談が重要です。電子申請(jGrants)に対応している場合はアカウント準備を早めに行います。必要書類の典型は、事業計画書、見積書(相見積の推奨)、直近期の確定申告書控、開業届(新規開業の場合)、反社会的勢力排除に関する誓約等です。交付決定前の契約・発注・支出は対象外となるため厳守し、支払いは原則として銀行振込でエビデンス(請求書・振込控・納品書・検収)の整合を確保します。
会計、受発注、決済、請求、在庫、予約、CRM、EC、RPAなど、業務のデジタル化・生産性向上に資するITツールの導入を支援する補助金です。個人事業主(フリーランス)でも、対象要件を満たせば申請できます。公式サイトで最新の枠(通常枠、デジタル化基盤導入枠等)と補助率・上限、対象経費(ソフトウエア、クラウド利用料の一定期間分、導入支援費、ハードウエアの取り扱いの有無等)を確認します(IT導入補助金 公式サイト)。
申請可能なのは「IT導入支援事業者」に登録されたベンダーが提供する「登録ITツール」に限られます。まず業務課題(工数削減、入力ミス削減、リード管理、受注率向上、決済短縮など)を定義し、KPI(処理時間、月次稼働時間、原価率、売上/人時など)を設定したうえで、機能要件と費用対効果でツールを選定します。支援事業者と共同で交付申請を行い、交付決定後に契約・導入、稼働状況やKPIの変化等を実績報告で示します。サブスクリプション費用の計上期間、オプション・カスタマイズの扱い、他補助金との重複対象経費の排除、リース・分割払いの可否など、事務局の取扱いに従い厳密に整理します。
注意点として、導入前の試用や本番課金開始が「事前着手」に該当しないよう開始日を管理すること、複数年度にまたがる利用料の対象期間、証憑(契約書、仕様書、請求書、納品・検収、支払記録)の整合管理、アカウント数・ユーザー権限等の実在性を客観資料で示すことが挙げられます。
革新的なサービス開発・試作開発・生産プロセス改善等のための設備投資やシステム構築を支援する大型の補助金です。フリーランスでも、対象要件を満たし、設備投資と生産性向上の論理が明確であれば申請可能です。枠やスキーム、賃上げ等の要件は公募回で変更されるため、必ず公式ポータルの最新情報を参照してください(ものづくり補助金 総合サイト)。
代表的な要件として、事業計画期間における「付加価値額」の一定割合の増加や、賃上げ・雇用等に関する要件が設定されることがあります。投資対象は機械装置、専用ソフトウエア、システム構築等が中心で、単なる更新ではなく「生産性向上」「高付加価値化」「新サービス創出」に直結することを技術的・経済的根拠で示す必要があります。建物取得など対象外の費目や、仕様確定・相見積の要件、支払い方法の制限、検収・稼働確認の基準など、事務局の細則を計画段階から織り込みます。
採択の勘所は、現状のボトルネックの定量化(タクトタイム、歩留まり、リードタイム、原単位)、導入後のプロセス改善シナリオ、技術的妥当性(方式比較、規格適合、知財・標準化の観点)、マーケット側の収益仮説(ターゲット、単価、量、販売計画)を、KPIと資金計画(投資回収、キャッシュフロー)で結び、外部リスク(調達・設置工期・法令・許認可)を管理することです。
コロナ禍を契機に創設され、売上構造の抜本的転換や新分野展開・業態転換等の取り組みを支援する補助金です。個人事業主でも、該当要件を満たし、事業再構築指針に沿う計画であれば対象になり得ます。枠や売上要件等は公募回で更新されるため、公式サイトと指針を必ず確認してください(事業再構築補助金 事務局、経済産業省 事業再構築指針)。
新分野展開・業態転換・事業再編などの類型ごとに、売上の主要商品・市場の転換、設備投資の新規性、カニバリゼーション回避、外部連携の有無など、適用基準が定義されています。申請には認定経営革新等支援機関や金融機関と共同で策定する事業計画が求められる公募が一般的で、事業の実現可能性、収益性、波及効果、雇用・賃上げの観点、ガバナンス(発注・検収・内部牽制)をバランスよく示します。
資金計画では、補助金に依存しない資金繰り(運転資金の手当、自己資金・借入の組合せ、入金タイミングと納税資金の確保)を明示し、設備の納期・価格変動、許認可・インフラ整備、サプライチェーンのボトルネック等のリスクと対応策を具体化します。重複補助(同一経費の二重計上)は禁止のため、他制度との併用方針も事前に整理します。
第三者承継(M&A)や親族内承継等に伴う設備投資・販路開拓・専門家活用費などを支援する補助金です。個人事業の事業譲渡・引継ぎにおいても、公募要領の対象要件を満たせば活用できる場合があります。承継スキーム(資産譲渡・事業譲渡・株式譲渡等)や必要書類(基本合意・最終契約、資産目録、税務申告、許認可の承継可否)を早期に整理し、ポストM&Aの成長戦略(ブランド統合、販路再編、DX投資、価格戦略、品質・提供価値の標準化)を明確にします。最新の実施要領や募集枠は、支援データベースから確認してください(J‑Net21)。
高効率空調・照明・ボイラ・モータ等への更新、断熱・遮熱、制御最適化、EMS導入、再エネ・蓄電との組合せなど、エネルギーコストの削減とGX(グリーントランスフォーメーション)に資する投資を支援する補助金が毎年度公募されます。個人事業主でも対象となる事業があり、省エネ量の算定方法、基準値・効率要件、施工・検収の要件、エネルギーマネジメント体制の構築がポイントです。最新の制度概要や公募の方向性は資源エネルギー庁の公式情報を参照してください(資源エネルギー庁)。
採択の観点では、現在の使用設備・エネルギー使用量のベースラインを測定・証憑化し、更新後の削減量(原単位・年間消費量・CO2排出量)の予測根拠、調達・施工・安全の管理計画、費用対効果(回収年数・LCC)、地域・サプライチェーンへの波及効果を丁寧に示すことが重要です。省エネ補助金は公募枠や要件が多岐にわたるため、同一経費の二重補助を避けつつ、自社計画に最適な枠を選定します。
厚生労働省系の助成金(いわゆる雇用関係助成金)は、主に「労働者を雇用する事業主」が、法令遵守のもとで雇用維持・処遇改善・働き方改革の取り組みを行った際に支給される制度です。従業員を雇っていないフリーランス(個人事業主)が単独で受けられる制度は原則として多くありません。一方で、アルバイトやパートを含む従業員を雇用し、労働保険(労災・雇用)や社会保険の適用を適正に行っている場合は、対象となり得ます。
経済産業省の補助金のような「審査採択・事後精算」を前提とする仕組みとは異なり、厚生労働省系は「要件適合型(計画届の事前提出→取組実施→支給申請→審査・支給)」が基本です。取り組みの着手前に計画・届出が必要なコースが多く、事後申請は原則不可です。最新情報は厚生労働省の雇用関係助成金ポータルで確認してください(厚生労働省 雇用関係助成金、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 助成金のご案内)。
利用にあたっては、最低賃金の遵守、時間外・休日・深夜の割増賃金の適正支払い、労働条件通知書や就業規則の整備、36協定の締結・届出など、基本的な労務管理体制が必須です。労働関係法令違反や未払い残業、保険料の滞納等があると不支給となります。
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上のための設備投資等を行い、その成果として事業場内の最も低い賃金(所定内賃金)を引き上げる取組を支援する制度です。対象は「従業員を雇用している事業主」で、フリーランス本人のみで従業員がいない場合は対象外です。対象経費には、業務プロセスの改善に資する機械設備、POS・受発注・在庫・会計等のシステム、コンサルティング費、研修費などが含まれるコースが設定されています。
利用のポイントは、賃金引上げ計画の事前申請、対象労働者の範囲と引上げ額・時期の明確化、対象経費の適正な見積・発注・検収、成果の確認(賃金台帳や就業規則・賃金規程の改定等)です。着手前の申請が原則であり、発注・支払い・導入が先行していると不支給となるため、スケジュール管理が重要です。
また、同一の経費について他の補助金・助成金との重複受給(二重補助)は認められません。賃金の引上げと雇用維持を一定期間継続する義務があるため、資金繰りや事業計画に無理がないかも要確認です。公式の解説・公募情報は、厚生労働省のページで随時更新されています(厚生労働省 業務改善助成金)。
フリーランスの活用シーンとしては、パート・アルバイトを雇用し、受発注・請求・制作フローのデジタル化や在庫管理の効率化を行い、同時に最低賃金を上回る賃上げを図るといったケースが代表的です。費用の対象範囲や上限・補助率、申請期限は年度により見直されるため、最新の公募要領を必ず確認してください。
雇用関係助成金は、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、雇用調整助成金など多数のメニューで構成されます。共通する基本要件は、労働者との間で労働契約を締結していること、労働保険(雇用保険・労災保険)への適正な加入・届出があること、労務管理・法令遵守体制が整っていることです。外注・業務委託(請負)契約の相手方は、原則として助成金上の「労働者」には該当しません。
「一人親方」(建設や運輸などの個人事業者で労災の特別加入を行う者)は、労働者を雇用していない限り、事業主として雇用関係助成金の対象にはなりません。特別加入は自らの労災補償を目的とする制度であり、雇用主であることの要件を満たすものではないためです。逆に、フリーランスであってもアルバイトや正社員を雇い、雇用保険の適用事業となっている場合は、コースごとの要件を満たせば申請可能です。
注意すべきは「名ばかり業務委託(偽装請負)」のリスクです。指揮命令、勤務時間の拘束、機材・場所の提供状況、報酬の算定方法など実態によっては「労働者性」が認定される場合があり、法令違反や不支給・返還の対象となり得ます。雇用契約を結ぶ場合は、労働条件通知書の交付、就業規則の整備、36協定の締結・届出、賃金台帳・出勤簿の整備を徹底してください。
各コースの対象者要件(例:有期→正規転換、短時間→所定労働時間延長、教育訓練の実施、在籍出向の活用 等)、支給上限・支給単位、提出期限や事前届出の有無は制度ごとに異なります。詳細は厚生労働省の公式ポータルで必ず確認し、不明点は都道府県労働局やハローワーク、JEEDに相談するのが確実です(厚生労働省 雇用関係助成金、JEED 助成金のご案内)。
両立支援等助成金は、育児・介護・不妊治療などと仕事の両立を進める事業主の取組を支援する制度です。代表的なコースには、出生時育児休業(産後パパ育休を含む)の取得促進、育児休業の円滑な取得・復職支援、介護離職防止のための制度整備・利用促進などがあります。支給の前提として、就業規則や労使協定等への制度規定化、対象労働者への周知、個別面談・取得計画の作成、取得実績や復職・継続就業の確認といったプロセスを、期日どおりに行う必要があります。
フリーランスでも従業員を雇用している場合は、例えば「育児休業を取得しやすい環境整備」「短時間勤務制度の導入」「相談窓口の設置」「介護のための所定外労働の制限」などを就業規則に明記し、実際の取得・復帰を支援することで申請対象となり得ます。事業規模が小さいほど、代替要員の確保・業務の標準化・マニュアル整備が重要となるため、他の助成金(例:人材開発支援助成金でのOJT・Off-JTの体系化など)と組み合わせて環境を整えると効果的です。
留意点として、事前の制度整備が求められること、取得の実績や復職・継続就業の確認書類(雇用契約書、賃金台帳、出勤簿、休業申出書、社内周知資料 等)の提出が必要なこと、支給申請の期限が比較的短いコースが多いことが挙げられます。また、事業主自身(個人事業主本人)の育児や介護に対して直接給付される制度ではなく、雇用する労働者の両立支援を行った事業主を支援する仕組みである点を誤解しないようにしましょう。全体像と最新要件は公式情報を確認してください(厚生労働省 雇用関係助成金、JEED 助成金のご案内)。
地方自治体(都道府県・市区町村)の補助金・助成金は、地域の産業振興や創業支援、商店街活性化、文化芸術振興など政策目的が明確で、対象者要件(所在地や主たる事業所の所在、創業後年数など)と対象経費が詳細に定められているのが特徴です。公募は年度予算に連動し、年数回の定期公募または随時募集の形式が一般的で、国の大型補助金よりも金額は比較的小さい一方、地域課題への適合性や即効性が重視されます。フリーランスは、地域要件、事前着手禁止、事後精算、重複対象経費の禁止(併用不可)といった基本ルールを踏まえ、最新の公募要領を確認して申請準備を進めることが重要です。
東京都の創業期支援を代表する制度が「創業助成事業」です。運営は東京都および公益財団法人東京都中小企業振興公社が担い、都内での創業や創業後間もない事業者の初期投資・販路開拓等にかかる費用の一部を助成する公募型の制度です。助成上限額や補助率、対象経費(例:広報費、展示会出展費、器具備品、委託費等)は公募回により変更されるため、必ず最新の公募要領で確認してください。公式情報は東京都中小企業振興公社の案内ページで公開されています(東京都中小企業振興公社「創業助成事業」)。
申請準備では、事業計画書に加え、収益モデル・資金計画(キャッシュフロー)・KPI・実施体制を整理し、対象経費ごとに見積書・仕様の整合性を確保します。一般に交付決定前の契約・発注・支出は対象外(事前着手禁止)で、交付決定後に発注し、事業期間内に検収・支払い・実績報告を行う流れが原則です。所在地要件(都内での事業実施・本店または主たる事業所の所在等)や、開業届・確定申告書の控え等の提出書類、反社会的勢力排除条項の遵守など、基本要件の確認も重要です。
採否は審査(書面審査やプレゼンを含む場合あり)により決まり、加点として地域課題への貢献性、雇用創出、GX/DXの取組、価格転嫁・賃上げ方針の整合などが設定される場合があります。助成金の入金は実績報告後の事後精算が基本で、税務上は収入計上となるため、会計処理(消費税・所得税の取扱い)もあらかじめ想定しておきましょう。
地方の創業・経営支援補助を効率よく見つけるには、まず各自治体の「事業者向け支援」ページを定期的に確認します。都道府県では「産業労働部」「商工労働部」「経済労働局」等、市区町村では「産業振興課」「経済局」等のサイト内に「補助金・助成金」「公募情報」「創業支援」の専用コーナーが設けられていることが多く、募集要項(公募要領)、申請様式、スケジュールが公開されます。サイト内検索で「補助金 創業」「助成 公募」「事業者向け 支援制度」等のキーワードを使うと効率的です。
加えて、自治体系の産業振興公社・財団のページも有用です。代表例として、神奈川県の創業・成長支援を担う公益財団法人神奈川産業振興センター(KIP)(KIP)、大阪府域の中小企業支援を担う公益財団法人大阪産業局(大阪産業局)などがあり、補助金・助成金の公募情報やセミナー、個別相談の案内が集約されます。地域の商工会・商工会議所の情報ページや窓口相談も、募集開始の早期キャッチアップに役立ちます。
公募の見極めでは、次の観点を最初にチェックします。対象者要件(所在地・創業予定者可否・創業後年数・業種制限)、対象経費(設備・広報・専門家謝金・ITツール等)、補助率・上限額、申請方式(審査選考・抽選・先着順の別)、事業期間と実績報告期限、電子申請の有無、交付決定前の着手禁止、重複対象経費の禁止(国・他制度との併用可否)です。メルマガ登録や新着アラートの活用、年度当初(4〜6月)や補正予算成立時期の重点監視、募集回ごとのスケジュール逆算(事業計画策定・見積取得・証憑準備)で、提出品質とスピードを両立できます。
文化芸術系の助成は、創造活動の質や公共性、波及効果、地域文化への貢献度が重視され、経済産業系の「生産性向上・販路開拓」型の補助とは審査観点が異なることが多い制度です。個人(フリーランスのアーティスト、写真・映像・舞台・音楽など)または団体を対象とする枠が設けられる公募があり、事業の目的、上演・展示計画、観客・参加者への届き方、広報・記録、経費計画と自己負担の妥当性、ガバナンス・コンプライアンス体制などを総合評価するのが一般的です。
代表的な全国レベルの制度として、日本芸術文化振興会が運営する「芸術文化振興基金助成」があり、舞台芸術、音楽、美術、伝統芸能等の幅広い領域を対象とした助成メニューが公開されています(日本芸術文化振興会「芸術文化振興基金助成」)。また、東京都ではアーツカウンシル東京が独自の助成プログラムを提供しており、活動の規模やジャンル、国際発信等に応じた枠が設定されています(アーツカウンシル東京 助成プログラム)。文化庁系の補助金や各自治体の文化財団の助成も並行して公募されるため、活動地域の文化振興財団・文化局の情報を定期的に確認すると漏れが防げます。
なお、文化芸術系助成でも「同一経費の二重補助」は禁止が一般的で、他制度との併用は事業の切り分け(対象期間・対象経費・成果物などの分離)が前提です。交付決定前の支出は対象外、助成金受給後の実績報告やクレジット表記(ロゴ掲出等)の遵守が求められる場合があるため、公募要領と交付規程を事前に精読し、スケジュールと証憑管理の体制を整えておきましょう。
まずは一次情報となる経済産業省および中小企業庁の公募ページを定期的に確認します。経済産業省の公募情報は、補助金・委託事業等の募集開始や採択結果の公表などが随時更新されます。公式の一覧は「経済産業省 公募情報」から横断的に把握できます。
経済産業省 公募情報/中小企業庁 公式サイト/ミラサポplus(中小企業庁)
確認の要点は、公募要領・交付規程・募集要項の3点セットと、様式(申請書類一式)、FAQ、問い合わせ先(事務局)の掲示有無です。特に、対象者要件(個人事業主の可否、開業届や直近期確定申告の要否)、対象経費(機械装置費、広報費、ITツール費など)、補助上限・補助率、事前着手禁止・事後精算のルール、申請方法(jGrantsか独自システムか)と締切日時は必ずチェックします。
更新は新規公募の開始、Q&Aの追加、交付規程の改訂、採択結果の公表、次回公募予告などで随時なされます。J-Net21やSNSの情報だけでなく、最終確定版の公募要領・交付規程を必ず公式ページで再確認することが重要です。
全国の補助金・助成金・支援施策を横断検索するには、中小機構が運営するJ-Net21「支援情報ヘッドライン」を使います。国・都道府県・市区町村・公的機関の募集情報が集約され、フリーランスが対象となる制度も見つけやすくなります。
J-Net21 支援情報ヘッドラインでは、地域(全国/都道府県)、種別(補助金・助成金・給付金・融資・セミナー等)、分野(創業、IT、研究開発、販路開拓など)、対象者(個人事業主・中小企業等)、キーワード、募集状況(募集中)などで絞り込めます。並び替えは新着順や締切が近い順を選べるため、期限管理にも有用です。
見逃し防止には、J-Net21のメール配信を併用します。新着の支援情報や特集が定期的に届くため、重要な公募をタイムリーに把握できます。登録は以下から可能です。
J-Net21は情報ポータルであり、応募に当たっての最終判断は原則として各制度の事務局が公開する公募要領・交付規程の原本に基づきます。リンク先の公式ページで原資料を必ず確認してください。
多くの国(経済産業省系を含む)の補助金は、電子申請システム「jGrants(jGrants2)」で手続きを行います。申請・交付申請・実績報告・精算・支払請求までの一連のやり取りをオンラインで管理でき、メッセージ機能で事務局からの連絡も受け取れます。
事前準備として、ログインに必要なgBizID(gBizIDプライム)を取得します。発行には一定の審査期間がかかるため、余裕を持って手続きしてください。取得後、jGrantsにログインし、申請者情報(事業者情報、連絡先等)を登録します。
jGrants(jGrants2)/gBizID 公式サイト
案件検索は「公募を探す」から行い、募集機関、対象地域、分野、キーワード、募集中フラグなどで絞り込みます。応募する公募の「申請」ボタンから、申請フォームの入力、必要書類(事業計画書、見積書、各種誓約書、直近期の確定申告書の写し等)の添付を行い、期限内に送信します。締切時刻は厳格で直前はアクセスが集中しやすいため、余裕を持って提出してください。交付決定前の発注・支出は禁止されるのが一般的なので、公募要領と交付規程を遵守します。
制度を探すだけでなく、応募可否の整理や申請書のブラッシュアップには公的相談窓口の活用が有効です。中小機構の情報発信、各地の商工会議所・商工会、よろず支援拠点の無料相談を使い分け、最新の公募動向や書き方のコツを入手します。
中小機構(SMRJ)/よろず支援拠点/日本商工会議所/全国商工会連合会
相談前に、公募要領・交付規程、作成中の事業計画、見積書、過去の売上台帳や確定申告書等を準備しておくと、対象要件の確認や加点項目(賃上げ、価格転嫁、GX・DXなど政策整合性)の診断がスムーズです。各団体のセミナーや説明会、メールニュースへの登録も、定期的な情報収集に役立ちます。公的機関の案内は原則無料ですが、最終判断は各公募の事務局が公開する公式資料に基づいて行ってください。
フリーランスが補助金・助成金を活用する際は、公募開始から交付決定、事業実施、実績報告、支払(入金)までの全体像を逆算し、締切厳守と証憑(エビデンス)整備を同時並行で進めることが重要です。制度ごとに詳細は異なりますが、一般的なタイムラインは「公募告知→事前準備→申請→審査→採択発表→交付申請→交付決定→契約・発注・支出→実績報告→確定審査→入金」です。電子申請の利用や要件確認の徹底、不備対応のリードタイム確保が採択率とスムーズな入金に直結します。
まず、公募開始と同時に事業計画の骨子を策定します。市場規模、顧客セグメント、ペルソナ、競合状況、代替手段、参入障壁、リスク要因を整理し、提供価値(バリュープロポジション)と差別化要素を明確化します。SWOTや3Cなどの枠組みで現状と機会を定量・定性の両面から記述し、補助事業で実現する成果を具体化します。
収益モデルは価格戦略、LTV、CPA(獲得単価)、稼働率、ARPUなどの指標で拡張可能性と回収可能性を示し、KGIとKPI(売上、受注件数、CVR、リピート率、工数削減、単価改善など)を事業実施期間内・実施後のマイルストーンに分解して設定します。資金計画は自己負担額、キャッシュフロー、運転資金の手当(入金サイトとの整合)を月次で可視化し、調達遅延や価格変動に対する代替案を記載します。
同時に、補助対象経費に該当する見込みの費用を洗い出し、仕様書と相見積(通常2~3社)を準備して価格の妥当性と選定理由を説明できる状態にします。見積書、提案書、カタログ、スクリーンショットなどの証拠は日付が分かる形で保管します。個人情報や著作物を扱う場合の権利処理、情報セキュリティ、インボイス制度への対応方針も、実行体制の一部として記載します。
電子申請が前提の公募が多いため、アカウント準備は早期に行います。jGrantsでの申請にはgBizIDが必要です。発行には数日~2週間程度かかることがあるため、余裕を持って取得します(jGrants: jGrants(電子申請ポータル)、gBizID: gBizID公式サイト)。
公募要領・交付規程・様式集を最初に精読し、対象者要件(個人事業主の可否、業種、売上規模、開業時期)、対象経費(機械装置、システム、広報費、外注費など)、補助率・上限額、事業実施期間、事前着手禁止、重複受給の禁止、反社会的勢力排除、知的財産の取扱い等をチェックします。制度により、商工会・商工会議所の事前確認や計画書添付が必須のものもあるため、締切から逆算して面談・証明書取得の時間を確保します。
加点項目は採点に大きく影響します。賃上げ・価格転嫁の表明、事業継続力強化計画や経営力向上計画等の認定取得、GX・DXへの波及、カーボンニュートラル、インボイス制度対応、外部専門家(認定経営革新等支援機関など)との連携は、根拠資料とともに明示します。最新の公募情報や解説は中小企業庁の公式情報を参照してください(例:中小企業庁 公式サイト)。
申請書は設問の意図に合わせて、課題→解決策→実行計画→成果→費用対効果→政策適合の順で一貫性を持たせます。数値根拠(統計、実績データ、受注見込み、見積、ヒアリング結果)を示し、採点者が短時間で理解できる構成にします。電子申請は締切直前にアクセス集中が起きやすいため、締切の数日前に提出できるよう、PDF化・ファイル容量・文字数・様式の指定、押印・署名の要否、不備対応のリードタイムを事前に確認します。公募から締切までは概ね4~8週間程度が多いものの制度差があるため、初動を早めてドラフト作成→第三者レビュー→修正→提出の工程を確保します。
採択発表後は、原則として「交付申請→交付決定」を経てから契約・発注・支出に進みます。多くの制度では交付決定前の契約・支出は補助対象外となるため、スケジュール管理を徹底します(採択=交付決定ではありません)。採択から交付決定までの目安は2~6週間程度ですが、事務局の審査状況により変動します。
交付決定後に、見積比較書、契約書・注文書、納品書、検収書、請求書、領収書(または支払証憑)を整備し、銀行振込の通帳写し等で資金の流れを証明します。現金払い不可やクレジットカード利用の可否、リース・サブスクの扱い、関連当事者との取引制限、表示義務(補助事業のロゴ掲示)など、交付規程の細則に必ず従います。やむを得ない計画変更は、事前に事務局へ変更申請や軽微変更届で承認を得ます。
実績報告では、成果物や導入効果、KPIの達成状況、広報物の写し、作業写真、ログ、テスト結果などを添付し、対象経費ごとに支出事実と適正性を説明します。不備照会への迅速な回答が支払確定の前倒しにつながります。実績報告の審査(確定検査)には概ね1~3か月程度を要するのが一般的です。
電子申請の場合、実績報告もポータルで行います。操作手順や様式は事務局サイトやポータルのヘルプを参照し、提出後は受領通知・受付番号を控えておきます(例:jGrants(電子申請ポータル))。
入金は原則として精算払(後払い)で、実績報告の審査完了後に補助額が確定し、指定口座へ振込まれます。入金時期は制度・回次・不備の有無で変動しますが、完了報告から入金まで2~6か月程度を見込むと安全です。一部制度では要件を満たす場合に概算払・中間払が認められることがありますが、実務では精算払が多いため資金繰りの事前手当てが重要です。
税務上、補助金は原則として事業所得の総収入金額に算入します。収入計上時期の判定は国税庁の原則に従い、支給の事実や権利の確定時期をもとに判断します(参考:国税庁タックスアンサー「収入すべき時期(所得税)」)。固定資産の取得や長期契約など取引形態により取扱いが変わる場合があるため、最終的な実務は税理士に確認してください。
消費税について、補助金そのものは対価性のない資金移転であり、一般に消費税の課税対象外です。一方、補助対象経費として支出した仕入や役務の消費税は、インボイス制度に基づく適格請求書の保存等の要件を満たす必要があります。仕入税額控除や課税売上割合の判定に影響し得るため、証憑管理を厳格に行います(インボイス制度の概要:国税庁「インボイス制度」特設サイト)。
なお、事後モニタリング(フォローアップ調査)や成果報告、帳票類の保存義務(多くは5年間)が課される制度が一般的です。採択後も、売上台帳・通帳写し・請求書・領収書・契約書・納品物の保管とKPIの定期把握を継続することで、将来の申請や加点にもつながります。
補助金・助成金は相対評価の公募が多く、審査観点と政策の重点に沿った「加点」と、他申請との差別化が鍵になります。ここではフリーランス(個人事業主・小規模法人含む)が実務で押さえるべき要点と、審査に耐えるエビデンスの示し方を整理します。加点項目は制度ごとに異なるため、最終的には各公募の公募要領で必ず確認してください。
採択の前提は「誰のどの課題を、なぜ今、どの方法で解決し、どれだけの市場機会があるか」を明確にすることです。主観ではなく第三者データで裏づけると説得力が高まります。
支援制度の背景や採択傾向は公的ポータルで最新を確認し、計画の根拠資料として脚注的に示すと有効です。例)SME向け支援情報の横断検索はJ-Net21 支援情報ヘッドラインが参考になります。
「新規性・独自性」は抽象表現では加点につながりません。差別化ポイントと生産性向上の因果を、プロセスと数値で説明します。
「なぜそれが自社でなければできないのか(再現困難性)」を、専門性・実績・提携先・アセット(顧客基盤、データ、コンテンツ)で示すと差別化が明確になります。
近年の公募では、政策課題との整合が加点や審査上の重視点になることが多く、計画上のコミットメントを明示することが有効です。
政策整合は「宣言・方針」だけでなく、社内規程・手順・システム設定・契約書式など実装レベルの証跡で裏づけると評価が安定します。
小規模事業者やフリーランスこそ、外部の力を組み合わせた「実行可能性の高い体制」を示すと加点・評価につながります。
連携先とは覚書(役割・納期・品質基準・検収・守秘・著作権・再委託可否)を事前に整え、見積書・仕様書の整合性も担保しましょう。
不採択は「良い取り組み」そのものよりも、要件不適合や根拠不足が原因であることが多いです。提出前に以下を必ず点検しましょう。
制度の審査観点や加点の最新情報は、各公式サイトの公募要領で確認してください。主要制度の公式情報はIT導入補助金、ものづくり補助金 総合サイト、事業再構築補助金 公式サイトなどで公開されています。
ここでは職種別に、目的(販路開拓・生産性向上・ブランディング・設備投資)ごとに対象経費を分け、同一経費の二重補助を避けながら組み合わせる考え方を示します。原則として、国・自治体いずれも交付決定前の契約・発注・支払いは対象外であり、同一の経費を複数制度で重複計上することはできません。各制度の補助上限・補助率・対象経費は公募回ごとに変わるため、必ず最新の公募要領・交付規程を確認してください(参考:小規模事業者持続化補助金(中小企業庁)、IT導入補助金 公式サイト、ものづくり補助金総合サイト、J-Net21 支援情報ヘッドライン)。
デザイナー・Web制作者は「営業力強化(販路開拓)」と「業務効率化(生産性向上)」を別の制度で分担するのが基本です。ポートフォリオサイト刷新、LP制作、名刺・パンフレット、広告出稿、展示会出展など外部向けの販促は小規模事業者持続化補助金で、見積・請求・プロジェクト管理、デザイン校正、オンラインストレージ、電子契約、会計連携などのSaaS・クラウドツール導入はIT導入補助金で検討します。
計上のコツは、機能と成果物の「目的」を明確に分離することです。例えばEC機能付きCMSの導入(ソフトウェア利用料やセットアップ)はIT導入補助金、導入したCMSで構築する自社サイトのデザイン制作や撮影・コピーライティング・翻訳、広告配信は持続化補助金に振り分ける、といった形です。ドメイン・サーバー、サブスクリプションは対象期間内に発生した費用のみを計上するのが原則です。
注意点として、IT導入補助金は登録済みの「ITツール」を「IT導入支援事業者」経由で導入する必要があります。自らが制作したサイトや自作スクリプト等を自己に販売して申請することはできません。持続化補助金は申請時に商工会・商工会議所の支援確認書が必要となるため、準備期間に余裕を持ち、交付決定前の着手を避けましょう(参考:小規模事業者持続化補助金(中小企業庁)、IT導入補助金 公式サイト)。
自社ECの立ち上げでは、ECパッケージや決済・カート、在庫・受注管理、POS連携、CRMなど「システム導入・連携」はIT導入補助金、ブランドサイト・ECデザイン制作、商品撮影、コピー・翻訳、リスティング広告・SNS広告、コンテンツ制作、ロゴ・VI開発など「販路開拓・認知拡大」は持続化補助金といった住み分けが実務的です。両制度にまたがる場合は、明細(ツール利用料・セットアップ vs 制作・広告)とスケジュールを分け、見積書・請求書・契約書類でも区別を明確にします。
広告費は配信期間・媒体・クリエイティブを特定し、成果指標(CV、CPA、ROAS等)を事業計画に落とし込むと評価されやすくなります。ECの写真・動画制作は販促目的であれば持続化補助金の対象になり得ますが、同一クリエイティブを他制度にも計上する二重補助は不可です。年間契約のサーバー・CDN・アプリ等は補助対象期間に応じて按分するのが原則です(参考:IT導入補助金 公式サイト、小規模事業者持続化補助金(中小企業庁))。
ブランド構築は短期の広告だけでなく、中期的なKPI(指名検索数、メール登録、リピート率、客単価など)や価格転嫁の方針、顧客体験の改善(UI/UX、レビュー対応、アフターサービス)まで含めて一貫性を持たせると、採択の論理が通りやすくなります。
木工・金工・食品加工などの製造系フリーランスや職人は、工作機械・加工設備、検査機器、CAD/CAMや生産管理システムの導入による「付加価値の向上・生産性向上」を軸に、ものづくり補助金を検討します。新製品・新サービスの開発や生産プロセスの高効率化につながる設備・ソフトが対象となり得ます。
一方、展示会出展、製品カタログ、試作品のPRサイト、商談用の映像・写真制作など販路拡大に関する外部発信は、小規模事業者持続化補助金の守備範囲です。設備投資(ものづくり補助金)と販路開拓(持続化補助金)を時期・費目で切り分け、同一の設備購入費や同じプロジェクトの同一経費を重複計上しないように管理します。
採択のポイントは、導入前後の生産性や原価構成の変化、リードタイム短縮、歩留まり改善、外注内製化による粗利改善などを数値で示すことです。人材・賃金への波及(技能伝承、賃上げ方針等)も一貫して説明できると評価が高まります(参考:ものづくり補助金総合サイト、J-Net21 支援情報ヘッドライン)。
中小企業診断士・税理士・社労士・行政書士・弁理士などの専門職やビジネスコンサルタントは、案件管理、CRM、マーケティングオートメーション、グループウェア、オンライン会議、電子帳簿・電子契約、ナレッジ共有、セキュリティ・ゼロトラスト等の導入で生産性を高めやすく、IT導入補助金の適用検討余地が大きい業態です。導入効果は「非稼働時間の削減」「同時並行案件の増加」「単価向上」「リード獲得効率化」などで定量化します。
新規顧客の獲得や専門分野の認知拡大のためのセミナー開催、ウェビナー配信、専門メディアへの記事広告、オウンドメディアの制作・改善、パンフレットや事例集の制作は小規模事業者持続化補助金が活用しやすい領域です。個人情報・守秘義務に関わるデータの取り扱いと情報セキュリティ方針は、導入ツール選定や申請書のリスク管理項目で整合を取っておきましょう(参考:IT導入補助金 公式サイト、小規模事業者持続化補助金(中小企業庁))。
実務では、IT導入補助金でのソフト導入・設定と、持続化補助金での販促制作・配信をプロジェクト管理上も別WBSに分け、見積・契約・検収・支払の証憑を明確に分離することで、事後の実績報告がスムーズになります。
写真家・映像作家などのクリエイターは、作品制作・公演・展覧会・上映等の非営利性が高い活動について、日本芸術文化振興会の「芸術文化振興基金助成金」などの文化芸術系助成金を検討できます。募集区分により個人・団体の申請可否、対象経費(創作・上演・普及など)、審査基準が異なるため、要項を精読してください(参考:日本芸術文化振興会 芸術文化振興基金助成金)。
営利事業としての受託撮影や自社スタジオの販路開拓、ポートフォリオサイト制作、広告出稿、展示会出展等は小規模事業者持続化補助金の対象として検討します。さらに地域によっては、創業・成長期の運転資金や広報・内装等を支援する自治体制度があり、例えば東京都の創業助成事業は広報費や展示会出展費等が対象に含まれる公募が行われます(参考:東京都創業助成事業(東京都中小企業振興公社)、小規模事業者持続化補助金(中小企業庁))。
併用可否の基本は「同一の事業(公演・展示・制作)や同一経費の重複補助は不可」です。例えば、同じ展覧会の会場費・広報費を文化芸術助成と自治体の創業支援で二重計上することはできません。一方で、芸術助成で作品制作を行い、別枠の販路開拓(商業案件獲得のための広告やポートフォリオ刷新)を持続化補助金で行うように、目的と経費を明確に切り分ければ、時期が重なっても適切に併用できるケースがあります。都市部ではアーツカウンシル等の支援も定期的に公募されるため、最新情報の収集が有効です(参考:アーツカウンシル東京、J-Net21 支援情報ヘッドライン)。
補助金・助成金の申請では、本人・事業の実在性、経費の妥当性、資金の流れを第三者が検証できる資料を、正確な体裁で提出することが最重要です。ここではフリーランス(個人事業主)を前提に、代表的な提出書類と作成・提出時の実務上の注意点を整理します。制度ごとに細部は異なるため、最終的には各公募要領・様式集の指定に従ってください。
共通の基本ルールとして、氏名・住所・屋号・生年月日・口座名義などの表記は全書類で統一し、日付の前後関係(契約・発注・納品・支払・受領)は矛盾がないよう厳密に管理します。電子申請ではPDF化(スキャンは300dpi目安、全ページ・余白含む、影や欠けのないこと)、ファイル名は日本語不可や文字数制限がある場合に備え半角英数字で簡潔にし、容量制限に注意して分割・圧縮を検討します。
事業の実在と税務状況を示す基礎書類です。税務署の受付印がある控え、またはe-Taxの受信通知付き控えを用意します。開業初年度や直近期の確定申告がまだ終わっていない場合は、公募要領が指示する代替資料(売上台帳、見込み損益計画など)を準備します。
提出書類の名称・年分・氏名・住所が一致しているか、ページ抜けがないかを必ず確認します。控えに受付印が無い場合は、e-Taxの受信通知や提出が確認できる画面の印刷を添えます。確定申告の作成・提出に関する公式情報は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を参照してください。
補助対象の必要性・効果・費用対効果を示す根拠資料です。数値とエビデンスで説明し、経費明細は仕様と整合させます。特に「交付決定前の契約・発注・支払(事前着手)」は原則禁止で、違反するとその経費は全額不採択(不支給)になり得ます。
日付の整合性は最重要です。見積→交付決定→契約・発注→納品・検収→支払→請求・領収の順に、全ての証憑で前後関係が矛盾しないよう管理してください。親族・関連当事者間取引、自己取引(自社開発の自家消費)などは対象外や減点となる場合があるため、公募要領の制限条項を確認します。
コンプライアンスと事業の継続性を示すためのセットです。反社会的勢力との関係遮断は多くの公募で必須となっており、誓約書の提出や申請フォームでの同意が求められます。
個人情報の取扱いは公募要領の指示に従い、不要箇所のマスキング可否や提出範囲(ページ指定)を確認します。通帳は事業用と私用の混在を避け、屋号口座の利用が望ましいです。
取引証憑の信頼性と消費税の適正処理を担保する観点から、発注先が「適格請求書発行事業者」であるか、請求書に登録番号・税率・税額等の必要記載が満たされているかを確認します。多くの補助金で消費税は補助対象外(税抜金額が対象)となるため、見積・請求・台帳の税込/税抜整合に注意してください。
インボイス登録の有無が申請資格となるとは限りませんが、発注先の請求書が適格請求書の要件を満たさない場合、証憑不備として差戻しや経費不認定のリスクがあります。疑義があれば事前に事務局へ確認し、要件を満たす様式での再発行・訂正を依頼しましょう。
補助金・助成金は「制度に適合した計画づくり」と「証拠書類に裏付けられた申請・実績報告」が採択の鍵です。初期の方針設計、要件解釈、数値計画、証憑(見積・契約・納品・支払)の整合管理まで、専門家や公的相談窓口を早期から活用することで、申請品質と審査対応力を高められます。締切直前は窓口が混み合うため、スケジュールの前倒しと役割分担の明確化が重要です。
地域の「商工会議所」および「商工会」は、創業・販路開拓・経営改善などの相談に対応し、補助金申請の準備(事業計画の壁打ち、対象経費の整理、見積徴取の段取り、電子申請の基本操作の確認など)を支援します。小規模事業者持続化補助金では、多くの公募回でこれらの支援機関が作成する様式の提出が求められるため、早期に連絡し面談予約を取るとスムーズです。全国の窓口は日本商工会議所および全国商工会連合会のサイトから辿れます(日本商工会議所:https://www.jcci.or.jp/、全国商工会連合会:https://www.shokokai.or.jp/)。
「よろず支援拠点」は中小企業・小規模事業者の経営相談を原則無料で実施し、複数回の継続的な支援にも対応します。補助金特有のルール(事前着手禁止、対象外経費の線引き、交付決定後の発注・支払・検収の順序など)を踏まえた計画づくりや、審査で評価される論点(市場性・実現可能性・生産性向上・政策整合)を整理できます。拠点一覧や予約方法は公式サイトを参照してください(よろず支援拠点:https://yorozu.smrj.go.jp/)。また、公的支援情報はミラサポplusで横断的に検索できます(https://mirasapo-plus.go.jp/)。
相談前の準備として、直近期の確定申告書類、売上台帳、見積書(仕様のわかるもの)、想定KPI、スケジュール、発注先候補、電子申請用のアカウント情報(取得済みであれば)を持参すると、短時間で論点が深まり、採択に直結するアドバイスが得やすくなります。会員限定サービスや一部有料メニューが設定されている場合があるため、事前に各窓口の案内を確認しましょう。
中小企業庁が認定する「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」は、事業計画の策定支援、財務・資金繰り、モニタリングまで一貫して伴走します。制度によっては認定支援機関の関与や確認書の提出が要件・評価に関わる場合があるため、対象制度の公募要領を確認し、早めに伴走体制を構築しましょう。認定支援機関の公表リストは中小企業庁のページで検索できます(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/index.htm)。
税理士は、数値計画の妥当性検証(売上・原価・投資回収・資金繰り)、補助金の会計・税務処理の方針整理、消費税や源泉・年末調整の影響確認、実績報告時の帳票整備などに強みがあります。中小企業診断士は、市場調査の設計、ターゲット・競合分析、提供価値と収益モデルの構築、KPIの設定、加点観点を踏まえた申請書の論理構成に長けています。社会保険労務士は、雇用関係助成金の制度選定、就業規則・労使協定の整備、労務コンプライアンスの適合性確認に有効です。各士業団体のサイトから近隣の専門家を探せます(日本税理士会連合会:https://www.nichizeiren.or.jp/、日本商工会議所中小企業診断士協会連合会に相当する全国団体として一般社団法人中小企業診断協会:https://www.j-smeca.jp/、全国社会保険労務士会連合会:https://www.shakaihokenroumushi.jp/)。
契約時は、業務範囲(ヒアリング、計画骨子、申請書ドラフト、様式作成、電子申請代行の可否、実績報告支援)、スケジュール、成果物、守秘義務、利益相反の有無、費用(着手金・成功報酬・実費)、支払条件を明確化します。完全成功報酬のみの提案は、過度な見積膨張や対象外経費の混在など不適切な誘導リスクがあるため、適正な見積とコンプライアンス遵守を最優先しましょう。審査での説明責任は申請者にあります。専門家の提案内容が公募要領・交付規程・手引きに適合しているか、一次資料に当たり自ら確認する姿勢が重要です。
IT導入補助金では、登録された「IT導入支援事業者」と連携してツール選定・申請・実績報告を進めます。対象ITツールの範囲、ライセンス期間、クラウドとオンプレの取扱い、ハード同時導入の可否、保守・教育費の対象性などは年度ごとに細部が更新されるため、公式サイトで最新の公募要領・手引きを確認してください(IT導入補助金 公式:https://www.it-hojo.jp/)。契約・発注・納品・検収・支払の順序や、事前着手禁止、帳票様式の要件(見積・納品書・請求書・振込明細等の記載事項)を、ベンダーと共有し、誤発注や対象外計上を未然に防ぎます。
各補助金の事務局・コールセンターは、公募要領や交付規程の解釈に関する公式見解の照会窓口です。電話よりもメール・問い合わせフォームで相談し、回答を記録(日時・担当・内容)しておくと、審査・実績報告でのエビデンスとして有効です。締切前は回答まで時間を要するため、要件判定は早期に行いましょう。電子申請の全般的な操作はjGrantsポータルの案内も参考になります(https://www.jgrants-portal.go.jp/)。
実務連携では、役割分担と期限の可視化(申請者:事業戦略・証憑保管、専門家:計画設計・文章化、ベンダー:仕様と見積・納品管理、金融機関・認定支援機関:計画確認等)を行い、クラウドストレージで証憑を一元管理します。見積・契約書・仕様書・発注書・納品書・検収書・請求書・振込明細・適格請求書発行事業者の登録番号など、後日変更が困難な情報は初回から正確に揃えます。虚偽記載や二重計上の禁止、対象外費目の分離計上、反社会的勢力排除条項の遵守など、コンプライアンスを最優先し、審査で問われる「市場性・実現可能性・生産性向上・政策整合」と整合した計画・証憑のセットを整備しましょう。
多くの国の制度は「中小企業者(個人事業主を含む)」を対象としており、フリーランスでも申請可能なものが少なくありません。販路開拓・広報費を支援する小規模事業者持続化補助金、業務のデジタル化に活用しやすいIT導入補助金、設備投資や新サービス創出を目的とするものづくり補助金、事業転換を後押しする事業再構築補助金などが代表的です。各制度で補助対象経費や補助率、申請に必要な事業計画の要件が異なるため、公募要領の確認が前提になります。
助成金は厚生労働省の雇用関係が中心で、従業員を雇用している場合に該当しやすく、最低賃金引上げと生産性向上投資を支援する業務改善助成金などが典型例です。雇用関係助成金は「雇用保険適用事業所」であることが前提になるものが多く、従業員のいないフリーランス単独では対象外のことが一般的です。
代表的な制度の公式情報は以下が起点になります。IT導入補助金(デジタル化・DXのITツール導入):IT導入補助金 公式サイト/ものづくり補助金(設備投資・生産性向上):ものづくり補助金 総合サイト/事業再構築補助金(新分野展開・事業転換):事業再構築補助金 公式サイト/各種支援の横断検索:J-Net21(中小機構)/雇用関係・業務改善助成金:厚生労働省 業務改善助成金
インボイス(適格請求書発行事業者)登録の有無は、応募資格の必須条件ではない制度が多い一方、インボイス対応のITツール導入が評価・要件に関連する枠(例:IT導入補助金の一部類型)もあります。インボイス未登録でも申請可能なケースはありますが、対象類型や加点項目に影響することがあるため、公募要領と募集要項を必ず確認してください。インボイス制度の概要は国税庁の案内が最新です(国税庁 インボイス制度)。
白色申告でも申請自体が可能な制度はあります。ただし、申請時・交付申請・実績報告の各段階で、直近期の確定申告書控え、売上台帳、通帳写し、見積書・請求書・領収書など、経営実態と資金の流れを裏づける書類が必要です。青色申告かどうかで審査上の有利不利が定められているわけではありませんが、青色申告決算書があると数値の整合確認がスムーズになる場面があります。
なお、補助対象経費の消費税の扱いは制度ごとに定めがあり、一般的には課税事業者は税抜、免税事業者は税込で計算する取扱いが多いものの、最終的には各公募要領に従います。インボイス登録の有無にかかわらず、消費税は原則として補助対象外(補助金で賄えない)である点にも留意してください。
多くの補助金は「中小企業者等(個人事業主を含む)」を対象とし、個人か法人かで応募可否や補助率が変わる一般的なルールはありません。審査では、公募要領に沿った事業計画の妥当性(市場性・収益性・実現可能性)、生産性向上や付加価値の根拠、資金計画の確実性、体制・リスク管理などが重視されます。
一方で、賃上げ要件や雇用関係助成金の活用など、従業員の雇用実態に関わる項目は評価や対象要件に影響しうるため、個人・法人の別よりも「事業規模・雇用状況・財務管理」の整備度が実務上の差となります。形式より実態(数値と資料の一貫性)で評価されると考えて準備しましょう。
採択は「交付決定」とは別で、交付決定前であれば辞退は可能です。交付決定後も辞退はできますが、発注・支出前であること、所定の手続(辞退届提出など)を経ることが前提です。契約・発注・支出は原則として交付決定日以降でなければ補助対象経費にならない「事前着手禁止」があります。違反すると不交付や返還の対象になり得ます。
計画の見直しが必要になった場合は、事務局の承認を得る「変更申請」や要件に応じた「軽微変更届」などの手続きを取ります。機器の型番変更や数量調整なども、補助事業の目的・効果や仕様要件、見積・比較・契約のやり直しの要否に関わるため、独断で実施せず、公募要領・交付規程の定めに従って期限内に申請してください。電子申請(jGrants等)の場合はポータル上でのワークフローに沿います(jGrants ポータル)。
虚偽申請や不正受給に該当する行為(架空取引、循環取引、取引先との役務未提供など)は、補助金の返還、加算金、将来の応募制限など厳しい措置の対象です。やむを得ず辞退・変更が必要な場合は、早期に事務局へ相談し、記録(稟議・メール・議事録・見積比較等)を残しておくことが重要です。
同一の補助対象経費について、複数の補助金・助成金から同時に交付を受ける「二重補助(重複受給)」は一律に禁止されています。例えば、同じPCや同じ広告メニュー、同じ委託費の一件を二つの制度で申請することはできません。補助事業期間も制度ごとに定めがあり、期間の重複中の支出は会計区分や証憑管理をより厳密に行う必要があります。
一方、対象経費・事業目的が明確に異なる場合や、補助金と雇用関係助成金のように費目が重ならない場合は、併用可能なケースがあります。併用を検討する際は、各制度の公募要領で「他補助金との併用」「重複対象経費」「他法令との関係」などの条項を確認し、申請書・実績報告でも資金計画と費目の切り分けを明示してください。制度横断の最新公募は中小機構の支援情報で俯瞰できます(J-Net21)。
要点として、同一経費の二重計上は不可、別経費・別目的なら可の余地がある、という原則を守り、見積書・契約書・請求書・支払証憑を制度ごとに突合できる形で整理し、照合可能な管理台帳を作成しておくと、審査・実績報告・検査に対応しやすくなります。
フリーランスも小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金等を活用可能。要点は、経済産業省・中小企業庁やJ-Net21で最新公募を確認し、事前着手禁止・自己負担・事後精算を厳守。採択の鍵は市場性と新規性、賃上げやGX・DXなど政策整合の明示、エビデンスの提示。申請はjGrantsを活用し、商工会議所・よろず支援拠点等の支援で計画の質を高める。補助金は原則課税所得となる点にも留意。