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フリーランス経理の始め方と必要なスキル|未経験から独立するための完全ガイド

2025/07/12

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フリーランス経理の始め方と必要なスキル|未経験から独立するための完全ガイド

この記事では、フリーランス経理として独立するための具体的な始め方や必要なスキル、未経験からのキャリア形成、仕事の探し方、報酬相場、成功のポイントまで、実践的な知識を網羅的に解説します。これを読むことで、独立・自立を目指す方が行動に移す自信と明確な道筋を得られます。

1. フリーランス経理とは何か

1.1 フリーランス経理の特徴と働き方

フリーランス経理とは、企業や個人事業主の経理業務を請け負う独立した働き方を指します。 従来の会社員や派遣社員と異なり、雇用契約を結ばず、複数のクライアントと直接もしくは仲介業者を通じて契約し、経理業務を柔軟に提供する という特徴があります。このため、働く場所や時間に縛られにくく、自宅でのリモートワークや必要に応じた訪問対応など、多様なスタイルを選択できます。 また、会計ソフトやクラウドサービスの普及により、小規模事業者でも外部の経理専門家に業務委託しやすくなっているため、 フリーランス経理の需要は年々高まっています。

1.2 正社員経理・派遣経理との違い

正社員や派遣社員の経理は事業所ごとに雇用され、毎日規則的に出社し、直属の上司や経理部門の同僚と連携しながら業務を行います。 一方、フリーランス経理は自らのスキルと裁量で案件を選び、複数の企業や個人の業務を同時並行で担当できる点が大きな違いです。 そのため、収入の幅や仕事量を自身で調整でき、働き方の自由度が非常に高い反面、案件の獲得やクライアントとのコミュニケーション、契約手続きなどもすべて自己責任となるという側面もあります。

1.3 主な業務内容と必要とされる知識

フリーランス経理が主に担当する業務は、以下のようなものが挙げられます。

  • 仕訳入力や伝票整理
  • 請求書・領収書の発行および管理
  • 月次・年次決算の補助
  • 給与計算・年末調整のサポート
  • 会計システム(例:弥生会計、freee、マネーフォワード)へのデータ入力やチェック
  • 経費精算、売掛金・買掛金の管理
  • 税理士や社労士など他の専門家への資料作成・連携業務

このような業務を担ううえで、会計・簿記の基本知識(日商簿記3級〜2級程度)や、各種会計ソフトの操作スキル、Excelをはじめとしたパソコンリテラシー、さらに最新の税制改正やインボイス制度などの法制度への理解が必須となります。 また、複数のクライアントと適切なコミュニケーションをとるためのビジネスマナーや自己管理能力も重要です。

2. フリーランス経理に向いている人の特徴

2.1 必要なマインドセット

フリーランス経理として活躍するためには、自律的に行動できる姿勢と、高い責任感が不可欠です。会社員と異なり、上司や同僚の指示を待つことなく、自らスケジュール管理やタスクの遂行を行う必要があります。また、クライアントの大切な財務情報を扱うため、守秘義務を徹底し、信頼を築く意識が強く求められます。

さらに、変化を受け入れ、自己成長を続ける柔軟さも大切です。会計基準や税務ルールは頻繁に変わるため、新たな知識やスキルを常に学び続ける姿勢が結果的にキャリアの安定や拡大につながります。

2.2 向き不向きのチェックポイント

フリーランス経理に向いているかどうか判断するためには、以下のような点がチェックポイントになります。

  • 自己管理能力が高く、タスクや納期を厳守できる
  • 数字やデータの細かいチェックが苦にならず、正確さに自信がある
  • クライアントと誠実で積極的なコミュニケーションが取れる
  • パソコンやクラウド会計ソフトなどのITツールに抵抗がない
  • 新しい経理知識や法改正に対する勉強を続けられる
  • 一定期間は安定しない収入や仕事量でもメンタルを保てる

これらに当てはまる方は、フリーランス経理としての適性が高いといえます。逆に、指示やサポートがないと不安になりやすい方や、変化に対してストレスを感じやすい場合は慎重な検討が必要です。

3. 未経験からフリーランス経理を始めるステップ

3.1 経理未経験者が最初にやるべきこと

フリーランス経理として業務を始めるには、まず経理の基礎知識や会計の流れを理解することが重要です。市販の入門書や、日本商工会議所の公式情報など信頼性の高い教材で学習を始めましょう。あわせて、経理の仕事内容や求められるスキルをインターネット上の記事やYouTubeなどでイメージし、実務の全体像を掴むこともおすすめです。可能であれば、副業やアルバイトで経理補助の実務経験を積むと、独立後の仕事探しで大きなアピール材料になります。

3.2 必要な資格とスキルアップ方法

未経験からフリーランスで経理業務を行う際、まず基礎となる資格やスキルを身につけることは非常に重要です。特に日商簿記検定は、多くの依頼主や企業が求める基準のひとつなので、取得を目指しましょう。加えて、パソコン操作や会計ソフトの使用経験も実務に直結します。

3.2.1 日商簿記

経理業務の基礎知識として最も重視されるのが日商簿記3級・2級の取得です。日商簿記は企業経理に必須の会計基礎力を証明でき、案件獲得時の大きな武器になります。特に2級を取得できれば、仕訳や試算表作成など、より幅広い業務に対応しやすくなります。

3.2.2 弥生会計・freee・マネーフォワード会計ソフト

現在のクラウド会計業界では、弥生会計・freee・マネーフォワードなどの会計ソフトの使用スキルが求められます。これらソフトの公式サイトには無料で使えるデモアカウントや学習コンテンツも豊富にあるため、事前に触れて操作方法を習熟しておきましょう。

3.2.3 Excel・パソコンスキル

請求書作成やデータ集計、グラフ作成など、経理業務ではExcelの基本操作が欠かせません。SUM・IF・VLOOKUP関数やピボットテーブルの利用など、日常的なExcel作業を問題なくこなせるスキルを身につけておくと、クライアントからの信頼も高まります。また、メールやチャットツールのビジネスマナーも習得しておきましょう。

3.3 ポートフォリオや自己PRの作り方

フリーランス経理として案件獲得を目指す際、ポートフォリオや自己PR資料は大きな武器になります。自分が学んでいる内容や、模擬的に作成した決算書・仕訳サンプル、経理分野で受講した講座の実績、修了証の画像などをまとめておきましょう。また、自己PR欄では「経理業務への意欲」「継続的な学習姿勢」「正確性・期限厳守を重視している点」など、未経験でも信頼されるエピソードやマインドセットを具体的に記載すると効果的です。ITリテラシーの高さやコミュニケーション能力をアピールできれば、クライアントに安心感も与えられます。

4. 独立・開業の準備と流れ

4.1 開業届と青色申告の手続き

フリーランス経理としてスタートするには、まず税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」の提出が必要です。開業届を提出することで、正式に個人事業主として認められ、屋号の使用も可能となります。また、節税メリットの大きい「青色申告承認申請書」も同時に提出することをおすすめします。青色申告を利用することで最大65万円の特別控除や赤字の繰越しが可能になり、しっかりと記帳・管理を行うことで税務面で有利に活動できるようになります。開業届と青色申告承認申請書はいずれも最寄りの税務署にて手続きが可能です。また、開業freeeや国税庁の公式サイトから書類をダウンロードして記入することもできます。

4.2 税理士・社労士などの専門家との連携

フリーランス経理として独立した後は、会計や税務だけでなく、顧客によっては社会保険や年末調整といった、より専門的な知識や手続きを求められることもあります。自分だけで対応が難しい場合は、税理士や社労士などの専門家と連携を図ることが重要です。専門家とパートナーシップを築いておくことで、税務調査や新しい税制、法改正への対応も迅速に行え、自身の提供価値を高めることにもつながります。また、信頼できる税理士を紹介してクライアントとの関係性を強めるケースも珍しくありません。

4.3 必要な設備や仕事環境を整えるコツ

フリーランス経理の仕事はリモートワークや在宅ワークが主流となるため、効率よく作業できるパソコン(できれば複数画面)、最新版の会計ソフト、セキュリティ対策を施したインターネット環境、オンラインコミュニケーションツール(Zoom・Slackなど)を構築しましょう。また、顧客からの重要な書類を保管するファイルキャビネットや、個人情報の管理に適した専用スペースを確保することも大切です。プライバシー性や防音・快適性に配慮したワークスペースを整えることが、長期的な業務パフォーマンスの向上と顧客からの信頼獲得に直結します

5. フリーランス経理の仕事の探し方と案件獲得方法

5.1 クラウドソーシング(クラウドワークス・ランサーズ等)活用術

フリーランス経理が仕事を獲得するための有力な方法の一つが、クラウドソーシングサービスの活用です。クラウドワークスランサーズなど、日本国内でも大手プラットフォームがあり、未経験者向けから高単価案件まで豊富に揃っています。サイト内には「経理」「会計」「仕訳」「記帳代行」「請求書作成」など、専門的な業務から事務作業を含む幅広いジャンルが掲載されています。

また、実績を積み重ねることで、プロフィールの信頼度が増し、より好条件の案件受注に繋がります。案件応募時は、過去の経験や習得している会計ソフト、資格(例:日商簿記)などをアピールすることが重要です。未経験の場合は、自己学習や自主的に作成した帳票サンプルなどもポートフォリオとして掲載しましょう。

5.2 経理代行サービスやエージェントの利用

最近では、経理業務の外部委託需要が高まり、経理代行サービスやフリーランス専用エージェントを通じたマッチングが拡大しています。キャスター(CASTER BIZ経理)スキルシフトなどのサービスでは、フリーランスとして登録し、クライアント企業の案件にアサインされる形式となります。

エージェント型の場合は、業務範囲や希望条件に合わせて、専任の担当者が案件を紹介してくれるため、初めての独立や未経験者でも安心して業務を始められるのが特徴です。また、契約や報酬管理などのバックオフィス業務を代行してもらえるため、経理本業に専念できる環境が整っています。

5.3 直接営業や人脈作りのポイント

クラウドソーシングやエージェント以外にも、直接営業による案件獲得や、既存の人脈を活かしたリファラル(紹介)での仕事獲得も効果的です。自分の得意領域やサービス内容を明確にした上で、中小企業や個人事業主へメールやSNS、名刺交換会などでアプローチを行う方法が挙げられます。

また、異業種交流会や経営者向けセミナー、オンラインコミュニティ(Facebookグループやnote、Xなど)に参加し、名刺交換や自己紹介をすることで、潜在的なクライアントとの接点を増やすことが重要です。すでに独立している経理フリーランス同士のコミュニティに参加することで、情報共有や相互サポート、案件の受発注につなげることも可能です。

直接営業の際には、「◯◯業界の経理に特化」「クラウド会計ソフトの導入サポート」「経理のペーパーレス化支援」など、独自性の強い提案、またはクライアントの課題解決に直結するサービス提案にすることが、選ばれるポイントとなります。

6. 実際の業務と報酬相場

6.1 経理業務の単価や料金相場

フリーランス経理が担当する業務内容は多岐にわたりますが、依頼される作業によって単価や報酬相場は大きく異なります。主な業務としては、仕訳入力、請求書発行、経費精算、月次決算補助、給与計算、年末調整などがあります。

例えば、仕訳入力や領収書整理といった初歩的な経理業務は、1時間あたり1,500円~2,500円が目安となります。より高度な月次決算や経理代行では、月額3万円~10万円程度で受託するケースが一般的です。給与計算や年末調整などのスポット業務は、作業1件あたり5,000円~2万円ほどが目安となります。

クラウドソーシングや経理代行サービスを経由する場合は、プラットフォーム手数料が差し引かれるため、直接契約よりも報酬が10~20%程度低くなることもあります。また、スキルや経験を積むことで単価アップが可能です。

6.2 クライアントとの契約とコミュニケーションの注意点

フリーランス経理は多様なクライアントと個別に契約を結ぶ必要があり、業務範囲や納期、報酬、支払い条件などを事前に書面で明確にしておくことが重要です。契約の際は守秘義務や契約解除の条件なども含めて合意し、トラブルを回避するために事前の合意事項はすべて契約書や覚書として残しておきましょう。

また、クライアントとのコミュニケーションは信頼関係を築くうえで不可欠です。定期的な業務報告や進捗連絡を心がけ、質問や指示には迅速に対応することが、長期的な取引につながります。

6.3 トラブル回避方法とリスク管理

フリーランス経理の仕事では、情報漏洩やデータ消失、報酬未払いなどのリスク管理が求められます。PCやソフトのセキュリティ対策としては、ウイルス対策ソフトの導入やパスワード管理、クラウドバックアップの活用などが基本です。

報酬の未払い対策として、着手金や月末締め翌月払いなどを契約に盛り込むほか、請求書発行時にも書面で記録を残すことが有効です。また、事前に業務内容・納期・成果物の範囲を明文化し、不明確な点は必ず相手方に確認しましょう。

さらに、自分の業務範囲を越えた税務相談や社会保険事務などは、税理士や社会保険労務士などの専門家と連携することでリスクを回避しやすくなります。

信頼できる報酬相場の目安については、ワークスハブ:経理/会計人材の案件・報酬目安を参考にするとよいでしょう。

7. フリーランス経理として成功するためのポイント

7.1 スキルアップと自己投資の重要性

フリーランス経理として安定した仕事を継続して受注し、クライアントから信頼を得るためには、常に最新の会計・税務知識や業界動向を学び続ける姿勢が不可欠です。日商簿記検定や経理実務能力検定、さらに中小企業診断士、税理士試験の一部科目合格など、資格取得を通じて自らの市場価値を高めましょう。

また、freee、弥生会計、マネーフォワードクラウドなど、各種会計ソフトの最新機能やアップデートについても常に把握しておくことが大切です。ExcelやGoogleスプレッドシートを使った効率的なデータ処理スキルも、大きな武器となります。

自己投資として、経理・会計の実務オンライン講座受講や、セミナー・勉強会(日本経理協会、日本商工会議所主催など)への参加もおすすめです。日本商工会議所の情報や、会計ソフト公式サイトのノウハウ記事も積極的に活用しましょう。

7.2 顧客満足度アップのコツ

フリーランスの経理職は「丁寧で正確な対応」「迅速なレスポンス」「柔軟なコミュニケーション」が評価されやすい職種です。納期を厳守し、業務の進捗状況や注意点をこまめに報告することで、クライアントとの信頼関係を構築できます。

また、経理の専門用語をなるべく使わず、経営者や担当者の立場に立ったわかりやすい説明を心がけることも大切です。業務に慣れてきたら、決算期のスケジュール表作成や定期的なキャッシュフロー分析など、付加価値提案・プラスアルファのサービスを提供すると継続依頼や紹介にもつながりやすくなります。

7.3 継続案件を得るための工夫

フリーランス経理として安定収入を得るためには、「単発案件」だけでなく、毎月や四半期ごとに継続的な契約が見込める顧客基盤を築くことが重要です。信頼関係を築き、要望に柔軟に応じた提案や業務改善のフィードバックを積極的に伝えることで、長期案件に繋がります。

契約内容や業務範囲、報酬を明確に記載した「業務委託契約書」を必ず締結し、定期的な業務報告の習慣を持つこともポイントです。フリーランス専門のエージェントや経理代行サービスを活用し、良質な案件を複数確保して収入の柱を太くしていくことも有効な戦略です。

人脈づくり・情報収集・自己研鑽の3つを意識して行動すれば、フリーランス経理としてのキャリアを着実に発展させていくことが可能です。

8. フリーランス経理の将来性とおすすめのキャリアプラン

フリーランス経理という働き方は、近年の働き方改革や中小企業・スタートアップにおける外部経理ニーズの高まりを背景に今後ますます需要が拡大していく分野です。「経理のデジタル化」や「クラウド会計ソフトの普及」によって、従来の経理業務が効率化されつつも、専門知識を持つフリーランス人材への依頼は継続的に増加しています。ここでは、フリーランス経理としての将来性と、キャリアアップにつながる具体的なプランについて解説します。

8.1 経理から財務・コンサルティング業務への発展

フリーランス経理として経験を積むことで、記帳・仕訳・月次決算などの基礎業務だけでなく、資金繰り管理、財務分析、経営アドバイスといった高度な業務へと領域を広げることが可能です。中長期的には、クライアントの経営課題や財務戦略をサポートする「財務コンサルタント」として活躍する道も開けます。また、経理代行だけでなく、事業計画作成、資金調達支援、補助金申請などコンサルティング要素の強い案件も獲得しやすくなるため、より高単価な受注が期待できます。

8.2 複業や副業経理として活用する事例

働き方が多様化する中、本業とは別に副業・複業としてフリーランス経理の仕事を行う人も増えています。土日や平日夜のすきま時間を活用し、記帳代行や会計ソフトの入力業務を請け負うスタイルは、リスクを抑えながら独立準備やキャリアチェンジを目指す方にもおすすめです。副業から始めて少しずつ案件を拡大し、収入の柱を育てていく事例も多く見られます。特に日商簿記資格や経理実務の経験がある場合、クラウド会計ソフトの活用やオンラインでの業務進行によって、地方在住者や子育て世代でも柔軟な働き方を実現しやすいのが特長です。

8.3 将来の独立事業展開例(会計事務所設立など)

フリーランス経理として十分なスキルと経験を積んだ後は、個人事業主から法人化を目指すのも一つの選択肢です。自身のビジネス基盤を強化し、スタッフやパートナーとチームを組むことで、会計事務所や経理代行会社を設立し、より大規模なクライアントやプロジェクトに対応できる可能性が広がります。税理士や社会保険労務士など専門家とのネットワークを構築することで、幅広いサービス提供が可能となり、経理業務だけでなく幅広いバックオフィス支援へと事業展開するケースも少なくありません

フリーランス経理の将来性は、経理業務にとどまらない発展性と多様なキャリアパスがある点にあります。自分のライフステージや志向性に合わせ、一歩ずつ着実にスキルアップとネットワーク拡大を進めていきましょう。なお、日本商工会議所の情報経営者団体の情報なども、業界動向やキャリア形成に役立つので、随時チェックすることをおすすめします。

9. まとめ

フリーランス経理は、専門知識や実務経験があれば未経験からでも着実に独立が目指せる職種です。日商簿記や会計ソフトの習得、ポートフォリオ作成などの準備を重ねることが成功への近道となります。主体的なスキルアップと顧客志向の姿勢を持ち、安定した案件獲得・将来的なキャリア展開を目指しましょう。